浄土真宗本願寺派 教念寺
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  第155話 心の架け橋

 先日、以前から聞きたいと願っていた、名知仁子(なち さとこ)医師の講演を聴くご縁に恵まれました。
 先生は、国境なき医師団で活躍後、今はミャンマーの無医村の農村部の村々で、巡回医療と保健衛生指導を無料で実施しています。
 そして、栄養失調で治療をした人が、村に帰るとまた栄養失調となる事から、正しい栄養指導に基づいた食事をしていない事がわかり、菜園作りも始めました。医療と菜園を通して生命を守り育んでいるのです。
 乳幼児の死亡原因の約半数が出産時で、幸い無事に生まれても肺炎や下痢症で亡くなってしまうという現実。千人の子どものうち、5歳まで生きられない子が 人(日本は3人位)とのことです。
 日本で当たり前の手洗いや歯磨きなどの保健衛生指導や、バランスの取れた食事を教育する栄養指導を、根気よく、医療と併せて村々を巡回しています。ある時はお寺や雑貨店の一角ですが、ほとんどがテントを設営しての青空診療です。数名のスタッフと村々を一巡するのに二カ月かかるそうで、小柄な先生のどこにそんなパワーがあるのかと思います。
 聞けば、国内大学病院に勤務していた先生は、マザー・テレサの「あなたの愛を誰かに与えれば、それはあなたを豊かにする」という一節に感銘を受け、国際医療へ進んだそうです。まさに慈悲と慈愛の心無くては出来ない活動です。
 開発が進む都市部に比べて、農村部は未だに電気がなく、ガソリンがペットボトルで売られています。安全な飲み水すらなく、先生自身は雨水を貯めて飲んでいるそうです。命がけで健康に生きる為の医療の実現に取り組んでいる先生の活動は、ミャンマーと日本を繋ぐだけでなく、命の架け橋を担い、夢を育んでいます。
 講演の帰り道からずっと、蛇口から飲み水が出る当たり前、どこかが悪くなればすぐに治療を受けられる当たり前の事に感謝をしつつ、今私に出来る事は何だろうと自問自答を繰り返しています。
 『私』が出来る架け橋は何でしょうか。先生が問いかけた『私』が育む『夢』は何でしょうか。