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出会いの中で

 先日、元NHKアナウンサーの杉山邦博さんとお会いする機会がありました。現役時代の相撲実況を耳にされた方も多かろうと思います。かつての大相撲の名取組について楽しくお話を伺いました。この杉山さんが今も大切にされていることばが「出会いは人生の道しるべ」であるとお聞きしました。長い人生で自分に道しるべとなったのは様々な出会いであった、といわれるのです。
 私たちも多くの方や多くの事柄と出会ってきました。そして、それは一瞬も留まることない日々を重ね続けている中のことでもあります。

電車の窓の外は、光にみち、喜びにみち、いきいきといきづいている。
この世ともうお別れかと思うと、見なれた景色が、急に新鮮に見えてきた。
この世が、人間も自然も、幸福にみちみちている。
だのに私は死なねばならぬ、だのにこの世は実に幸せそうだ。
それが私の心を悲しませないで、かえって私の悲しみを慰めてくれる。
私の胸に感動があふれ、胸がつまって涙が出そうになる。

 ある方から紹介された詩人の高見順さんの「電車の窓の外は」の一節です。病気で余命が短くなったわが身であるが、幸せそうな人々が自分の悲しみを慰めてくれ、感動するとは素晴らしい感性です。
 私たちは誰もが受け止めなければならない「死」をどのように考えているのでしょうか。出来れば避けて通りたいと思いますがそうはいきません。
 そんな私たちに阿弥陀さまが大切な願いをかけてくださいました。疑いなくその願いを受け入れて「南無阿弥陀仏」とお念仏させていただくことが何より尊いことである、とお示しくださいました。まことの道しるべです。
 親鸞聖人は御臨末の御書に
我なくも 法は尽きまじ和歌浦
あをくさ人の あらんかぎりは

(私がいなくなっても仏法は尽きてしまわない。和歌の浦の波のように戻って来よう。苦しみ悩む衆生がいる限りは)
 聖人の辞世のことばです。
 大切な出会いを見過ごさない日々を重ねたいと思います。

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