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血が通うという事

 人の好き嫌いを言ってはいけないのですが、私には苦手な美容整形の医師がいました。派手なテレビCMも拍車をかけて苦手な人でした。
 ですが、ある時その医師がこう言いました。「血液とお金は同じ。一ヶ所に滞らせてはいけない。きちんと循環してないといけない」
 なるほど、確かにそうだ、と思いました。ついでに「最初から美容整形の医師を目指してはいけない、人の命を救う医師を目指さねばならない」とも言っていて、私はこの人を誤解していたかもしれないなーと感じました。
 春から初夏にかけて、野生の熊に襲われて大怪我をしたり命を落とされる方のニュースが聞かれます。野生動物と人間の共存はやはり難しいものであります。
 さて、この熊ですが、一年の半分という長い間冬眠をしていても、エコノミークラス症候群にならないそうなのです。人間がこのような生活をしたなら、肥満、筋肉減少、骨密度低下、糖尿病、深部静脈血栓症や肺塞栓症など、さまざまな健康上の問題が生じると思います。
 ですがまた、慢性的に体を動かせない脊髄損傷の患者さん等では血栓リスクが上昇しないことが知られています。
 少し前に、冬眠中の熊は止血作用のあるタンパク質が低下していることが明らかになりました。活動中の熊と比べた冬眠中の熊の血液では55倍も低下していました。何カ月も眠りにつく熊の体内での血栓形成を防いでいるのです。
 そして、慢性的に動けない患者さんにもまたこのタンパク質の低下が確認されました。
 今、血液をサラサラにする血栓予防薬には、ちょっとぶつけても出血が酷くなるなどの副作用がありますが、研究がすすめばより安全な血栓予防薬ができる日が来るかもしれませんね。
 この話を聞いて、お寺も血の流れを良くして、どこかに滞らないようにしないといけないと感じています。どこかに血栓ができたら大変な事です。
 昔から「血が通った」〇〇と言いますが、本当にその通りだなぁと感じています。

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