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マスクは顔の一部です

 大坂なおみ選手の全米オープンでの快挙は素晴らしく、それに加えて差別を訴える7人の名前のマスクに感動しました。7人に絞るのも大変だったろうな、と思いつつ、彼女が選んだ名前の方の事件をおさらいしようという気持ちになりました。
 少し前に、友人から親戚のお弔問に行かねばならないのだけど、喪主側の人間だし、黒いマスクでないとならないかな、と相談がありました。
 そんな話は聞いたことないし、華美なものでなければいいのではないの?と言いましたが、どうもすっきりしていない様子です。うちの住職が通夜葬儀に行く時は白いマスクだし、築地本願寺に奉職してる次男も白いマスクだよ、と言いましたら「お坊さんがそうなら」と納得しました。
 日本にブラックフォーマルが入ってくる前の事や、今でも例えば着物で参列するなら四親等からは色無地だから真っ黒黒ではない事とかも話したりしました。
 新しい生活様式にマスクというものが登場し、医療者や一部の患者(花粉症含む)の為のものだった物が外に出かける時は必要と言われるものになり、まだまだ戸惑うばかりの人は多いと思います。
 うちの門徒さんにご自分のお召し物を縫われる方がいて、お召し物とお揃いのマスクをしてお参りされるのですが、なんて素敵なお洒落だろう、と、気持ちが躍るのです。今やファッションの一部でもあるマスクですから、サイズのみならず素材やTPOなど自分にあったものにしていきたいなぁと思います。
 幸い、門徒さんや友人達から頂いた手作りマスクは顔にフィットし(小顔効果にニヤリ)、いろいろな色柄なので、お出かけの時の服に合わせて楽しめるなぁ、と、ワクワクしています。ん?お出かけっていつ?近くにおつかいに行くのはお出かけ?友だちと最後にお出かけしたのっていつだろう?
 コロナ禍になる前の何気ない日常は、不特定多数の名前も知らない人々や環境との『ふれあい』そして『ご縁』によって支えられ、成り立っていたんですね。
 あたりまえの事に感謝しないとならないのだ、と、毎日マスクを手にするたびに思います。

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