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時代が変わっても

 昨年、東海道新幹線の車内販売が終了しました。平成になり食堂車が無くなり、更に令和で車内販売終了となり、なんだか寂しくなりました。初代だんごっ鼻の新幹線には亡父とよく乗りました。就学前限定でしたが、父が大阪出張の時は私を連れて大阪の祖父母宅へ泊まりました。
 富士山通過に合わせて食堂車に行きましたし、車内販売ではプリンをおねだりしました。新幹線で車内販売が回ってくると、そんな事を思い出しましたが、また一つ時代の波に消されてしまいました。利用者のニーズに合わない事や労働力不足が廃止の理由だそうです。
 2月の初めに、Mさん夫妻の十七回忌と三回忌がありました。お子様方が、お二人の遺影をお持ちになり、懐かしの笑顔に再会し、涙腺が緩くなりました。
 法座にいらしたご主人が、運転免許返納した時の事です。「もうこれでうちの(家内)をどこへも連れて行かれなくなった」としょんぼりお話されていました。ご主人が亡くなられてから奥さんにそのお話をすると、ご主人がそんな思いでいたなんて知りませんでした、と驚いてました。家族に話せない事も、お寺ではいろんな話をしてくださったのだと思います。昔の事をお尋ねすると、いつも丁寧に説明してくださいました。
 子ども達が仏事を引き継いでくれるだろうか、と心配していた事がありましたが、お子様方はきちんと引き継いでいらっしゃいますよ、と、遺影を前にそう思いました。
 更に少し前には違う二組の門徒さん方も、ご両親の法事の際、お懐かしいお写真をお持ちになりました。其々のご家族が、とりわけお母様がお寺が大好きだった話で持ちきりでした。
 この三組のご家族は、私世代のお子様方です。仏事を引き継ぐという事は、故人の思いも引き継いで行く事です。故人を縁として仏法に出遭うという事は、決して当たり前の事ではなく、稀有の事のような気がしています。
 時代の波と共に無くなっていくものがある中で、人として無くしてはいけないもの、守っていかねばならないものを気づかせてくれるというのも、ご法事を行う理由の一つという気がしています。

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