蓮如上人御一代記聞書46
「弥陀を教える人」
ある時、蓮如上人が弟子の法敬坊に、「弥陀を信じてまかせよということを教えてくださった人を知っているか」とお尋ねになったよ。
法敬さんが、「存じません」とお答えしたところ、上人はこうおっしゃった。
このことををしふる人は阿弥陀如来にて候ふ。阿弥陀如来のわれをたのめとの御をしへにて候ふ。
つまり、「このことを教えてくださったお方は阿弥陀如来である。阿弥陀如来が、われを信じてまかせよと教えてくださったのである」とおっしゃったわけさ。
これまで僕に「弥陀をたのめ」つまり阿弥陀様がどんな仏様より大切で、阿弥陀様を信じまかせなきゃいけないということを教えてくださったのは誰だろう。近いところでは両親や祖父母。そして幼い頃何もわからず連れて行かれたお寺のご住職やご講師の方々。いろいろな方たちが僕に阿弥陀様の大切さをすすめてくださった。
でもこの僕に伝えてくださった人たちにも、先生にあたる人たちがいる。だれかに教わったみ教えを僕に教えてくださっていたわけ。そうしてたどっていくと、親鸞聖人や蓮如上人のおすすめに行きつくね。親鸞聖人の命がけの伝道があればこそ、今この私に阿弥陀様の尊さが伝わってきたんだ。
では、親鸞さまの前ってどうなんだろう。直接は法然聖人、さらに七高僧の方々、そうしてお釈迦様にたどりつく。僕たちにとって、お釈迦様こそは第一番の善知識(み教えを伝え育ててくださる方)なんだ。
お釈迦様は2500年前のインドの方だね。ここまでさかのぼればもう終わりだろうと思ったら、いやいや、まだ先があるよ。お釈迦様に阿弥陀様のさとりをひらかせた方がいる。そう、それが阿弥陀さまなんだ。
「どうか、わが願いを聞いてほしい、信じまかせておくれ」という阿弥陀様のお心が、多くの人をして阿弥陀様を讃えさせ、動かし、語らせて、私に届いてくださったんだ。つまり、阿弥陀様が多くの人の口をかりて「お前を救う」と教えてくださっているわけ。目に見えない仏様の裏側のはたらきを、しっかり味あわせてもらおうね。