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蓮如上人御一代記聞書2
「道徳、念仏申さるべし」②

 お正月にあいさつに見えた道徳さんに「念仏もうさるべし」と語られた蓮如上人、続けてこうおっしゃったよ。

 自力の念仏といふは、念仏おほく申して仏にまゐらせ、この申したる功徳にて仏のたすけたまはんずるやうにおもうてとなふるなり。他力といふは、弥陀をたのむ一念のおこるとき、やがて御たすけにあづかるなり。そののち念仏申すは、御たすけありたるありがたさありがたさと…

 口から同じように出る念仏でも、称えながら自分の心に思う事、称え心はいろいろある。その称え心こそが大事だぞ。そしてその称え心には、自力と他力があるぞと蓮如上人は教えてくださっているんだ。
 まず自力の念仏とは、念仏をたくさん称えて、そのたくさん称えた成果で仏さまに助けてもらおうと思って称える念仏で、これじゃダメだよとおっしゃってる。どうしてかというと、自分の称える念仏を自分の手柄のように思って、その自分の手柄で往生しようとしているからさ。
 次に他力の念仏は、弥陀をたのむ一念の起こるときお助けいただき、そののち称える念仏だというよ。
 この「弥陀をたのむ一念」というのは、阿弥陀様の願いが僕たちの心に届くことさ。「お前を仏にするためにこの浄土を造ったぞ、この道は間違いがないからそれを信じて我が名を称えておくれ、どうか私に任せておくれ」という願い。その願いを聞いて、「そうだったのか」と気付く心が「弥陀をたのむ一念」の心だよ。
 そして、「そうでしたか、ありがとうございます」と、これまで阿弥陀様の心を知らずにいたことを懺悔し、感謝の心で称える念仏を、他力の念仏とお勧めくださっているんだ。
 念仏は、僕たちが作ったものじゃない。阿弥陀様が僕たちのために作りあげ、届けて称えさせてくださってるものなんだ。だからまず、しっかりと阿弥陀様の心、その願いを聞くことが肝心だと蓮如上人はおっしゃっているんだよ。

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