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蓮如上人御一代記聞書42
「聴聞はかどをきけ」

 お寺で法話を聞き終わってから、「さて、何の話だったっけ」って思い出せないことはない?お話が上手だとつい聞き入ってしまい、泣いたり、笑ったり、でも話が終わってからその話が思い出せないなら、ちょっと残念だよね。
 蓮如上人のお弟子の法敬さんが、次のようにおっしゃったよ。

讃嘆のときなにもおなじやうにきかで、聴聞はかどをきけ

 「讃嘆」とはご法話のことで、「かど」というのは、要点とか肝要という意味のことば。つまり、「ご法話を聞くときには、なにもかも同じように聞くのではなく、要点、肝要のところを聞かなきゃいけないよ」とおっしゃったんだ。
 僕たちは仏法の話が延々続くと、どうしても眠くなったり頭に入ってこなくなったりしちゃう。だから仏法のお話をしてくれるご講師の先生たちは、時には面白い話、みんなが興味のある話、豆知識などを盛り込んで、飽きさせないように工夫してくださっているんだ。
 そういう話だと、目も覚めるし、僕たちの頭にはよく入ってくる。そうしておいて仏法の話につなげてくださるんだけど、一番大事な仏法の話を聞き逃し、頭に残っているのが面白い話や興味のある話だけだったら、もったいないことだよね。
 法話には、かならず仏法が語られている。たとえば、自分自身の姿や罪業のこと、阿弥陀様が私にかけている願い、兆載永劫のご苦労、私へのはたらきかけやお育てなど。そうして、こんな私が念仏一つで仏になっていくという僕たちの想像を超えた法を説いてくださってるんだ。
 ご講師の話は、ご講師のお話のように見えて、実際は、阿弥陀様の私への法話なの。ご講師の裏側には阿弥陀様がおられて、ご講師の口をかりて阿弥陀様が私に向けて法を説いてくださっているんだ。阿弥陀様が何を私に伝えようとしているのか、それがみ教えの「かど」で、だからこそその「かど」をしっかり聞いていきましょうと、法敬さんは教えてくださっているんだよ。

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