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名体不二(みょうたいふに)

 大相撲の関取のしこ名は独特です。勇猛な名前や出身地に由来するもの、読み方が特殊なものなど様々です。最近のアナウンサー泣かせの名前は「若隆影」でしょう。早口では連呼できない難しさです。勝星を重ねて番付が上がるたびに注目され、その名前を聞く機会が多くなってきました。そしてついに先場所で賜杯を抱くことになり、さらなる出世を期待されています。相撲の実績は申し分ありませんが、その名前のまえには滑舌の良いアナウンサーが今でも苦戦を強いられています。
 若隆影関は三兄弟で角界入りしたことでも有名です。そのしこ名をつける際に親方が戦国武将の毛利元就が「三本の矢」の教え(一本の矢は容易に折れるが、三本まとめてでは折れにくいことから、一族の結束を説いた)を授けた3人の子である隆元・元春・隆景の名前を由来として命名したそうです。
 さて、以前ある先生から「ご本尊は見えてくださる南無阿弥陀仏、お念仏は聞こえてくださる南無阿弥陀仏」とご教示いただいたことがあります。姿のあるご本尊もお念仏も同じく阿弥陀さまであるというのです。
これはまさに「名体不二」のことです。名体不二について「阿弥陀仏の名号と仏体とがひとつであること。名号が正覚(さとり)の全体であり、名号を離れて阿弥陀仏の正覚のないことをしめす」とされています。
 日頃、幾度となく申しているお念仏は阿弥陀さまのお姿であり智慧と慈悲のはたらきでもあったのです。けれども、多く称えればその徳も多く得られると考えることは戒めなければなりません。
 「名は体を表す」という慣用句はこの「名体不二」が源泉になっているといわれています。
 私が頑張っていつでもどこでもお念仏がこぼれるようになることを目指すのではなく、気がついたらお念仏がこぼれていましたという私でありたいと思います。

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