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たすきの重み

 正月の風物詩となっている箱根駅伝ですが今年も各校の熱戦が繰り広げられました。わが母校は残念ながら三位となり連覇は叶いませんでしたが大いに健闘を讃えたいと思います。
 さて、駅伝はご存じの通り「襷(たすき)」を繋いで順位を競うものですが、実況や解説の中で必ず「たすきの重み」という言葉が何度も出てきます。それは今走ってる人の前に走ってくれた人があり、自分を待っている人がいることの重みです。また、他の人が頑張って順位を上げても自分が順位を落としてしまうこともあります。このことも選手にとっては重みになるでしょう。それが見ている側にも伝わってくるので応援にも力が入ってくるのです。
 さて、親鸞聖人は本願念仏の教えを正しく伝えてくださった高僧を七人選ばれました。「七高僧」と呼ばれ、お釈迦様の教えをインド・中国・日本へと時代を超えて伝えてくださったことを親鸞聖人は大変喜ばれました。
 『教行信証』のはじめに
 ここに愚禿釈の親鸞、慶ばしいかな、西蕃・月支の聖典、東夏(中国)・日域(日本)の師釈に、遇ひがたくしていま遇ふことを得たり、聞きがたくしてすでに聞くことを得たり。
(私、親鸞は心より慶ばせていただいています。それはインドから中国にそして日本に至るまで、お念仏のみ教えを伝えてくださった、それぞれの高僧方のお説きくださった文献や思想に遇うことが難しいなかで、いま遇うことができ、聞くことが難しいなかで聞くことができました)
 ここに示された「遇」は「たまたま」と示され、思いもかけず不思議な導きの御縁であることの慶びを表しています。
 選ばれた七人の高僧方のなかで親鸞聖人が唯一、直接に教えを頂戴したのが法然聖人です。法然聖人から深遠なる弥陀の誓願の救いを慶ばせていただくことによって高僧方の遺徳を重く受け止めることの御縁になったのです。
 国や時代を超えて、弥陀の救いのたすきが親鸞聖人に繋がれ、さらに現代の私たちにも繋がれて来たことをこころから慶ばせていただきたいと思います。
 そして、私たちは確実に後世の方々にこのたすきを渡さねばならない使命があるのです。

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