キツネノテブクロ

わぁ、頑張り屋さんだなー、と、真夏の花壇の「キツネノテブクロ」という花に声をかけてしまいました。初夏に咲く花が真夏にも頑張って咲いていたのです。後から、お花屋さんに、品種改良で花数がどどんと多いものや夏まで咲き続けるものができているのだと教わりました。
キツネノテブクロという和名が好きなんですが、ジギタリスという方が一般的かもしれません。この花を見るたびに、少し前まで心不全の薬として沢山の人を助け、今は最前線から一歩引いて医療界を支えてくれているなぁ、と、思わず手を合わせてしまいます。
心臓の薬としてのニトログリセリンは19世紀中頃のダイナマイト製造工場での不思議な出来事から薬へ。多くの人が工場に入ると頭痛やめまいを感じたのですが、狭心症のある人が、工場にいる間は発作が起こらない事から心臓の薬となりました。
ワーファリンという血液サラサラ薬は強力な殺鼠剤でした(それも、スタートは20世紀のアメリカでの牛の飼料に含まれている草による出血病から抗凝固剤が誕生しました)。
ジギタリスは毒草ですが、18世紀頃のヨーロッパでは心臓の民間療法薬として使われているものでした。毒草でも薬になるものは他にも多数あり、きっとその知識を知る人の中には魔女と呼ばれたりして、時には崇められ、時には火炙りなど社会から追放されながら使ってきたのでしょう。毒性が強いので、今は民間薬としても使ってはいけません。白、ピンク、赤紫と美しい花として公園や花壇やお庭で楽しむばかりとなりました。
爆弾、殺鼠剤、毒薬、と、なんとも強者揃いの心臓薬でありますが、刃物や放射線と同じく、使用方法によって幸せの為に使うのかその真逆になるかは使用者の心のありようによって変わってくるわけですね。
心臓薬については世の中の名医にお願いするしかありませんが、もう一つの方の心のケアはどうですか?病院に定期的にお薬を貰いに行くのが毎月の法話会。定期検診がお盆などの法要です。
そして怪我や急な病気で受診をするように、悲しくて仕方ない時、誰かに愚痴を聞いてもらいたい時は、阿弥陀さまに会いに来てくださいね。阿弥陀さまは心の名医です。