天橋立 松並木
大江山 いく野の道の 遠ければ
まだふみも見ず 天橋立
百人一首の中にある有名な和歌ですね。母である和泉式部の代作疑惑を見事に跳ね返した、ユーモアにあふれて大好きな一首です。
学校で習った時(小学校か中学校かは、もはや生野の道より遠い記憶の彼方…)、やはり作文や家庭科の宿題をお母さんに手伝ってもらっている人がいましたから、小式部内侍あっぱれ!と思いながら、そんな昔から代作ってあったんだなぁと心の中で苦笑いしていました。まあ作文や読書感想文も、今ならお母さんよりAIに手伝ってもらうんでしょうから、あまり風情がありませんねぇ。
そんな事を思い出しながら高速道路の案内標識の地名を追っているうちに天橋立につきました。すぐに展望台に行くよりも、と、松並木をサイクリングする事になりました。走り出して観光客がいなくなるとすぐに、お香屋さんにいるような薫りに包まれました。
えっ⁉︎どこかにお香屋さんがあるの⁉︎と見渡しましたが目に入るのは松、松、松、まつと松しか今見当たらん…立ち別れ いなばの山の峰でなくても見渡す限り松ばかり。
そうか、これ、松の香りなんだ、なんて高貴で心地よい薫り!今の今まで、松がこんなに良い薫りとは知らず、あぁだからお香屋さんの店名に『松』が使われているところがあるのかと納得しました。松の木の森林浴です。
友人に『松乃ちゃん』というコがいます。中学生の頃、ババクサイ名前で嫌だと言ってました。松竹梅で一番上だからいいじゃない、と言いましたら「竹は筍、梅は梅の実が食べられるのに」と。あぁ、そうか、松はないねぇ、と考えましたら、誰かが「松茸があるよ!」と言いました。食べたことないよ、私あるよ、◯◯園のお吸い物だけど…と他愛もない話が続いたんでした。
あの時は松の薫りを知らなかったから、今度松乃ちゃんに会ったら伝えたいです。松乃ちゃんの名前はやっぱりステキな名前だよ、松の薫りは気持ちが安らぐ落ち着く薫り。百人一首よりもずっとずっと前から、きっと私達のDNAに組み込まれて来た私達の心を落ち着かせる薫りの一つなんだよ、ってね。


